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最高裁判所第二小法廷 昭和59年(ク)258号 決定 1985年1月22日

抗告人

更生会社東洋染工株式会社管財人

若泉ひな

勝倉彰三

相手方

田中哲次郎

相手方

南増夫

右抗告人らは、名古屋高等裁判所金沢支部昭和五八年(ラ)第四一号会社更生事件の更生計画認可決定に対する抗告につき、同裁判所が昭和五九年九月一日にした原決定取消、更生計画不認可の決定に対し、更に抗告の申立をしたので、当裁判所は、裁判官全員一致の意見で、次のとおり決定する。

主文

本件抗告を棄却する。

抗告費用は抗告人らの負担とする。

理由

会社更生法二三二条に規定する更生計画の認否の裁判は、非訟事件の裁判であり、純然たる訴訟事件ではないから、その抗告審の裁判も公開法廷における対審によつてする必要はなく、また、それによらなかつたからといつて憲法三二条にいう裁判を受ける権利が制限又は剥奪されると解すべきではなく、したがつて、原審が公開の法廷における対審又は当事者の審尋を経ないで審理、裁判をしたことをもつて憲法三二条、八二条の規定に違反するということができないことは、当裁判所の判例の趣旨とするところである(最高裁昭和四〇年(ク)第四六四号同四五年一二月一六日大法廷決定民集二四巻一三号二〇九九頁参照)。本件抗告理由のうち右の違憲をいう部分は理由がなく、論旨は採用することができない。

本件抗告理由のうちその余の違憲をいう部分は、その実質は原決定の単なる法令違背を主張するものにすぎず、特別抗告適法の理由にあたらない。

よつて、本件抗告を棄却し、抗告費用は抗告人らに負担させることとし、主文のとおり決定する。

(大橋進 木下忠良 鹽野宜慶 牧圭次 島谷六郎)

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